アジアゲートベトナム代表の豊田です。
さて、今日の記事です。
Over 700,000 employees receive one-time social insurance allowance this year
(今年、70万人以上が社会保険を解約し、”一回限りの払い戻し”を受け取ることを選択)
ベトナムの 社会保険は20年以上支払うと満期になり、定年後に年金をもらうことができます。
まぁ、貰える金額があまり大した額ではないので、日本のように年金だけで生計を立てる、というのは難しいと、と聞いていますが、それでも、老後を支える大事なお金です。
しかし、昨年の新型コロナの感染拡大によって、仕事を失ったり、仕事量が急減して収入も厳しくなった70万人もの人々が、この「将来の年金」の権利を放棄して、解約時に一時金としてもらえる
「一度限りの払い戻し金」
に手を出していますよ、という記事です。
何が問題かというと、一旦、この一時金をもらってしまうと今まで積み重ねてきた権利は 「リセット」 されてしまいます。
ベトナム社会保障のデータによると、この数は昨年の同時期より5.45パーセント多い、ということですが、と、いうことは昨年も、65万人くらいは解約してるわけですね。
記事では2名のベトナム人の例を載せています。
一人はダナンの公務員の方で20年以上、きちんとのこの強制社会保険に加入してきました。 公務員だから当たり前ですが。
しかし、このコロナで観光業で働く奥様が2年以上、ほとんど仕事がない状態になり、当然、収入はほぼなし。
家族4人の生活を支えるために、最近、この「一度限りの解約」を利用し、 約3,000万VN(1,300米ドル)を受け取った そうです。
結構、大きいと言えば大きいですが、まぁ、20年の年金積み立ててを「パァ」にしますからねぇ、、
とりあえず、これで当面の生活はなんとかできそうですが、将来に大きな不安を残してしまいました。
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もう一人のケースがニャチャンの女性で、この方も15年間、きちんと社会保険に加入していました。
しかし、コロナによって彼女が勤める会社の業績が悪化、給与も激減し、仕方なく、社会保険を解約し、「一回限りの社会保険」を受け取ったそうです。
しかし、ついていないことに、彼女は手当を受け取って間もなく病気になってしまったそうです。
当然、社会保険に加入していないので、病院での治療費は全て自腹になってしまいました。
この時、この女性は、もう一度、社会保険に加入したかったそうですが、現在の社会保険法では、 「再加入」というケースを規定していない そうです。
まぁ、あんまり「入ったり、出たり」されても困るので、そういう厳しい措置にしているんですかねぇ、、
基本的には、この「一回限りの社会保険手当」をもらってしまい、社会保険システムを放棄した人は、当然ですが、その瞬間から、病気、出産、労働災害、職業病、退職、死亡の時に社会保険基金から恩恵を受けることができません。
社会保険当局の方によると、
「この”一回限りの社会保険手当”を受け取ってから、そのことの重大さに気づいて、再加入したい、と思う労働者は多いんです」
とのことです。
以前から、この「一回限りの社会保険手当」は問題になっていて、ベトナムでは35歳くらいになると多くの職場で採用が厳しくなってくる現実が厳然としてあり、35歳でこの「一回限りの社会保険手当」を使ってしまって、以後、社会保険を支払わない人が多い、という記事を数年前に読んだことがありました。
まぁ、コロナ禍で収入が厳しくなる中、この「禁断の果実」に手を出したくなる気持ちはわかるのですが、代償は小さくないようです。
以上 豊田英司
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